| name | retrospective |
| description | 作業をふりかえって改善案を引き出し、記録する。セッション内のすべてのストーリーが完了したとき、依頼者の終わり発話 (作業を区切る発話) を観測したとき、または依頼者が「ふりかえろう」「retrospective」と明示したときに発火。同セッション内で 1 度 skip された場合は再発火しない。 |
ふりかえり skill
なぜこの skill があるか
作業中に気付く改善点を、気付いた時に拾えるサイクルが回っていないと、改善が言語化されないまま流れていく。気づきを引き出して、改善案や取り決めへ書き戻すべき知識・手順を残すまでがこの skill の責務。改善実装そのものは別 skill / 人間判断に委ねる (= 「気づきを出して残す場」であって「直す場」ではない)。
コーディングエージェントのふりかえりでは、人間のふりかえりと違って次の 3 つが効く。これがこの skill の作りを決めている:
- 学びが人に残らない: エージェントは学びを次セッションに持ち越せない。気づきを取り決め (skill / subagent / CLAUDE.md・ルール) に書き戻さないと、改善は次までに消える。残す先は人の記憶でなく取り決め。
- 自己分析は捏造されやすい: エージェントは「もっともらしい因果」を後付けで作る。だから正直さの監査が要る。
- 対象は「働き方」: エージェントの働き方は取り決めに刻まれている。表面の出来事でなく、取り決めの挙動を見る。
通底する構え (流れの全段に効く)
進行は対話駆動で dialogue-principles skill のルールに従う。以下は特定の Step でなく、ふりかえり全体を通じて効かせる構え。
- 責任追及でなく改善の場: このふりかえりは main session (= コーディングエージェント) を責めるためのものではなく、今後の改善のためにやる。だから失敗・抜け・迷いを正直に出してよい (= 隠さず出すほど価値がある)。下の「正直さ」はこの前提があって初めて成り立つ。
- 正直さ: 自己分析は、後付けで「もっともらしい因果連鎖」を捏造しやすい (= 実際に起きる失敗モード)。出す前に点検する:
- 検証できる事実 (会話履歴・成果物・実行結果に残るもの) と推測を分けて書く
- 内部状態に基づく主張 (「〜と思っていた」「〜のつもりだった」) は推測と明示し、かつ 自分で正直に出す。依頼者に当てさせない (= 内省は main session にしかできない。依頼者は外側から事実・論理の整合をチェックする役)
- 綺麗に揃いすぎた因果図は捏造のサインとして疑う (= 都合よく一本道に見えるときほど、別の要因を潰せていない)
- 発火・タイミングなど挙動の主張が改善の判断を左右するときは、自分の語りを信じず記録で裏を取る (= 毎回見る儀式にはしない、判断に効くときだけ)。記憶 (= context に残る会話) は使えるが、序盤はやり取りが圧縮され、発火の語りには捏造が混じりうる、という 2 つの穴を前提に扱う
- 共創・発散と収束: 一方的に完成形を出さず、認識を揃えながら共同で作る。発散 (候補を短く 1 行で並べる) と 収束 (1 つを選んで深掘りする) を 1 つの出力に混ぜない (= 混ぜると議論観点が積み上がって認知負荷が上がる)。
- 既存フレームワーク (KPT / YWT / Fun-Done-Learn 等) は採用しない: 対話駆動の独自プロセスで足りる。型を持ち込むと Step 間の責務 (= 観測 / 深掘り / アクション) が混ざる。
流れ
skill が呼ばれたら以下を順に回す。各段で上の「構え」を効かせる。
観測
「よかった点 / 伸びしろ」を出す (発散なので短く並べる、深掘りは後段)。main session が先に会話履歴・観察からリストを出し、依頼者が追加 / 削除 / 修正する (= 依頼者は main session の出力に引きずられず、自分の実感を優先して書き換えてよい)。軸は基本「よかった点 / 伸びしろ」の 2 軸、依頼者が「KPT で」「3 軸で」等と指示してきたら柔軟に変える。
表面の出来事だけでなく、働き方を規定する取り決め (skill / subagent / CLAUDE.md・ルール) が適切に働いたか を必ず見る (= エージェントの働き方はそこに刻まれているので、見ないと表面の伸びしろしか拾えない)。観測の幅と深さ:
- 利用可能だった skill / subagent / ルールを 一通り当てる (= 1 件見つけて止めない、都合のいい 1 件で満足しない)
- 表面の出来事を 「skill / ルールを呼んだ・呼ばなかった挙動」として捉える (= 「先走った」でなく「
define-requirements を呼ばなかった」と書く)。当てる観点: 明示的に発火・起動したもの / 「必ず発火」と書かれているのに発火しなかったもの / 呼ぶべきタイミングで呼ばなかったもの / 順序・タイミングのミス / 暗黙適用で済ませたもの / CLAUDE.md・ルールがその場面を導けたか
- 発火の有無だけでなく、関係する skill / subagent / CLAUDE.md・ルールの中身 (本文) まで読む。呼んだものも、呼ぶべきだったのに呼ばなかったものも。中身がその場面を適切に導けたか / 薄くて導けなかったかを見る (= 直す対象が「発火のさせ方」なのか「中身の不足」なのかを切り分けられる)
- ハーネスの発火だけで見ない。ハーネスに絡まない純粋な推論ミス・良い振る舞いも拾う。よかった点は 「取り決めに宿って再現する」か「偶然救われた」か を見分ける (= 偶然の良い点は「次は再現しない」ので、それ自体が伸びしろ。安定化はアクションで取り決めに書き戻す)
評価の 2 軸と併せて、「取り決めへの書き戻し候補」を第 3 の一覧として出す。よかった点 / 伸びしろが評価のレンズなのに対し、これは収穫のレンズ (= 次セッションに残すべき知識・手順を拾う)。依頼者に「スキルに反映することはないか」と聞かれるのを待たず、観測の一部として必ず出す (= 依頼者の聞き忘れで知識が消えるのを防ぐ):
- 拾う対象は 2 種類とも拾う: 依頼者から受けた指摘・修正・好みの伝達の蓄積 / 自分が作業中に見つけた手順・調べ方・ノウハウ (= うまくいったやり方。どちらも失敗にも伸びしろにも分類されず、言語化されないまま流れやすい知識の受け皿)
- 候補の形式 (= どの取り決め (どの skill / subagent / ルール) に、何を書き戻すか)・ここで実装しないこと・0 件は「(なし)」と明示すること、は後段のアクションと同じ流儀
- 候補に議論の余地があれば、他のトピックと同じく深掘りトピックに選べる。収穫は根本原因分析でなく収集なので、基本はそのまま記録に進んでよい
トピック選択
観測リストの中から、依頼者が深掘りしたいトピックを選ぶ。
深掘り (根本原因)
選んだトピックに「なんで?」を投げて根本原因を引き出す。ここで「構え」の正直さを強く効かせる。
- main session が自己分析として答えを出す: main session が「なんで?」の答え (= 作業者として見えている根本理由) を先に出し、依頼者が外側からフィードバック。依頼者に「なんで?」を投げるのではない
- 1 問ずつ進める: 1 つの「なんで?」+ 1 つの自己分析の答え + 依頼者のフィードバック を 1 サイクル、次の「なんで?」を main session が自分で立てて進む。一気に複数段の「なんで?」と答えをまとめて出さない
- 目安 5 回前後、状況判断で打ち切り可 (= 5 Whys の慣習に倣う目安)
- 単一の軸で打ち切らない: 1 つの「なんで?」連鎖で「根本に到達した」と判断する前に、別角度からの「なんで?」も探る
アクション
深掘りの結果として改善案を出す、または分析だけで終わる。
- 気づきを 「どの取り決め (どの skill / subagent / ルール) を、どう直すか」に接続する (= 取り決めに書き戻る形にしないと次セッションで改善が消える)。「どこを直すか」まで具体にして残す
- ただし ここで実装しない (= 直す場ではない。実装は別 skill / 人間判断)
- アクション 0 件 OK: 「現時点で出ない」も価値ある情報、「(なし)」と明示記録
- 「分析結果のみ」「改善のアクションまで」どちらの粒度で残してもよい
- 別のトピックを深掘りしたい場合は「トピック選択」に戻る
成果物
改善案は docs/working/<title>/ふりかえり.md に記録する。
- 1
<title> ディレクトリ = 1 ファイル
- 累積形式: 複数セッションを 1 ファイルに追記 (時系列順)
<title> は要件定義 / 基本設計と同じディレクトリ規約 (= 機能を表すケバブケース)
フォーマット
# <title> ふりかえり
## YYYY-MM-DD: [このふりかえりのタイトル]
### サマリ
[1-3 行、今回のふりかえりの位置付け]
### トピック一覧
よかった点:
- ...
伸びしろ:
- ...
取り決めへの書き戻し候補:
- [どの取り決め (どの skill / subagent / ルール)] に [何を書き戻すか]
[0 件なら (なし)]
### 深掘り 1: [深掘りしたトピックの名前]
#### 経緯
[作業 / 議論の流れ]
#### 分析
[原因 / 課題 / 構造的問題]
#### アクション
[次に試すこと、0 件なら (なし)]
### 深掘り 2: [別のトピックの名前]
...
記録の規則
## YYYY-MM-DD: [タイトル] で 1 セッションのふりかえりを区切る
- 「トピック一覧」は観測の結果 (= 全リスト、深掘りしなかったものも含む)
- 「深掘り N」section は深掘りしたトピックごとに作る。深掘りしなかったトピックは現れない
- 深掘り番号 N はセッション内 (= 各日付セクション内) でリセット、1 から開始
- アクション 0 件は「(なし)」と明示
- 「取り決めへの書き戻し候補」も「トピック一覧」の一部 (= 観測の結果の全リスト、深掘りに選ばれた候補も一覧に残る)。0 件は「(なし)」と明示